現在、世界の株式市場は
限られた銘柄へ投資資金が集中
世界の株式市場は現在、限られた銘柄への投資資金が集中しています。 世界における株式時価総額の約半数を米国株が占めている中、米国株では「マグニフィセント・セブン」(以下、「M7」)と呼ばれる突出したハイテク企業7社が米国株の上昇を牽引しています。 直近の約5年半のパフォーマンスにおいても、米国の時価総額が大きい主要500社で構成される株価指数『S&P500』の上昇率が1.7倍に対して、M7は3倍の上昇を見せております(図[1])。
その結果、『S&P500』の時価総額構成比率の約32%をM7が占めている状況であり(図[2])、こうした特定の銘柄への極端な集中は、米国株式市場ならびに世界の株式市場にとって潜在的なリスクのひとつになっていると考えられます。
図[1]パフォーマンス比較
(2019年末=100→2024年7月末)
図[2] S&P500時価総額構成比率
(24年7月)
M7
32.2%
M7以外のS&P500構成銘柄、EPS伸び率は拡大傾向
M7は、2024年第1四半期にEPS(1株当たり利益)で前年比50%の成長を遂げましたが、その後は伸び率が鈍化すると予想されています。
一方、M7以外のS&銘柄のEPSの伸び率は徐々に拡大傾向にあります。
JPモルガンは、M7を除くS&P500構成銘柄のEPSの伸び率も、2024年第4四半期までにM7に匹敵すると予想しています。
図[3]1株利益(EPS)の伸び(前年比)
2024年第2四半期以降はアナリスト予想集計値

M7はアップル、アマゾン、アルファベット、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラの7社を示す。EPSはプロフォーマEPS。EPSはデータの出所および/もしくは計測時点が異なるため、他のページの数値とは異なる場合がある。
ラッセル指数とは
『ラッセル3000』は、米国株式市場に上場している銘柄のうち、時価総額上位3000銘柄を対象とした株価指数です。米国株式市場全体の時価総額の約95%を占めているため、米国株式市場の全体像を計る株価指数として見られています。
また、時価総額上位1,000位を除いた上位1,001位〜3,000位の2,000銘柄で構成された 株価指数は「ラッセル2000」と呼ばれ、
日本での知名度は高くありませんが、米国における小型株のベンチマークとしてアメリカでは広く知られる存在です。
小型株と聞くと、日本のグロース市場に上場している企業の規模を思い浮かべるかもしれませんが、米国株式市場では、時価総額が1兆円(70億ドル)を超える企業は1,200社以上も存在しています。日本で時価総額1兆円の企業が20社にも満たないのとは対照的です(図[4])。
ラッセル2,000構成銘柄の一部を紹介
銘柄名(コード) | 事業内容 | 24年7月末時価総額 (億ドル) |
直近決算年間売上高 (億ドル) |
---|---|---|---|
カーバナ(CVNA) | オンライン中古車販売会社 | 275.7 | 107.7 |
e.l.f.ビューティー(ELF) | 化粧品メーカー | 97.3 | 10.2 |
クロックス(CROX) | カジュアル靴メーカー | 79.7 | 39.6 |
デュオリンゴ(DUOL) | 学習プラットフォームを提供 | 74.1 | 5.3 |
図[4]時価総額1兆円の上場企業数
(2024年7月、米国は70億ドル以上)

