ブラジル動向 ゼロクーポン債[ブラジル・レアル建]

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ブラジル・レアルを取り巻く環境(2021年8月)

ブラジル中央銀行は8月4日、主要政策金利を4.25%から5.25%への引き上げを決定しました。6月の前回会合に続き4会合連続の利上げとなります。会合終了後の声明文では、次回の会合(9月22日予定)においても同規模の利上げを行うことを示唆しました。

継続的な利上げの背景として、物価上昇が続いていることが挙げられます。 6月のインフレ率が前年同月比+8.35%と政策目標(3.75±1.5%)を大幅に上回る高い水準で推移しており、気候変動による水不足で水力発電所の電力供給が縮小された影響を受けた電気代の高騰や、世界的な食品価格の上昇が影響しています。

一方、国内経済については、足元の経済指標は堅調で、これまでの予測通り下半期の経済回復は期待されます。7月27日に国際通貨基金(IMF)が発表した世界経済見通しについても、2021年のGDP成長率見通しを4月時点の+3.7%から+5.3%へと上方修正されています。

今後は、政治動向に注目が集まります。2020年のブラジルGDPは前年比▲4.1%でしたが、他の主要新興国に比べて下げ幅が小さかった要因として、コロナ対応として実施した低所得者や失業者向けの現金給付策が挙げられます。一方、この支援策の結果、2020年末の政府債務残高が前年比約18%増と急増しており、通貨の安定を図るためには財政の健全化に取り組む必要があります。21年度予算は歳出を抑えた形で成立しましたが、来年秋には大統領選挙が予定されており、支持率引き上げのために財政拡大の動きが続くことも考えられます。

ブラジル・レアルを取り巻く環境においては、引き続き主に次のようなリスク要因があると考えられ、注視する必要があります。

  • ブラジル政府の財政赤字および公的債務の高さ、健全化が急務の財政
  • 2022年大統領選の行方(ポピュリズム色を強める懸念)
  • 変異株による世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済への影響

一方で、以下に記したファンダメンタルズがブラジル・レアルを下支えすると考えられます。

  • ブラジル中央銀行は中立金利(=インフレを加速も減速もさせない中立的な金利水準)を超える利上げの可能性を示唆しており、その場合には政策金利引き上げによる海外との金利差の拡大が見込めること。
  • ブラジルは資源大国であり、原油の生産量は世界7位(2020年)、鉄鉱石の生産量は世界2位(2018年)となっており、先進国を中心としたワクチン接種進展による経済活動の回復期待などもあり、資源価格は堅調に推移すると考えられていること。


ブラジル政策金利・CPI推移

ブラジル政策金利・CPI推移
出所:ブラジル中央銀行、ブラジル地理統計院

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出所:各国中央銀行
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