トルコの投資環境について ゼロクーポン債[トルコ・リラ建]

トルコの最近の動向(2019年9月)

  • 2019年7月、トルコ中央銀行は政策金利を24.00%から4.25%引き下げ19.75%にしました。トルコ中央銀行が利下げを行うのは約3年ぶりです。また、9月にはさらに3.25%引き下げ16.50%にしました。
    利下げの背景として、エルドアン大統領が景気刺激のために低金利を求め、利下げを要求していたことに加えて、足元でインフレが和らぐなど金融緩和に転じる環境が整いつつあったこと、米国が利下げ方向に変化したことでトルコが利下げをしても資金流出するリスクが減ったことなどが挙げられます。
  • 2018年夏、対米関係の悪化を受けて起きたトルコ・ショックで、前年同月比+25%を超えた消費者物価(CPI)上昇率は、2019年8月には+15.01%まで減速しています。現時点(2019年9月13日)での政策金利からCPI上昇率を差し引いた実質政策金利がプラスであることは、トルコ・リラにとって支援材料です。

今後の見通し

2019年7月の金融政策委員会で利下げに踏み切ったことは、金利の引き下げを望むエルドアン大統領の意向に沿った形で中央銀行の独立性への懸念が再び高まっています。一方で、大幅な利下げを行ったことにより、短期的には大統領の不満を和らげると考えられます。実際に大幅な利下げに踏み切った直後のトルコ・リラ相場は一時上下に振れましたが、その後は値を戻すなど市場は冷静な反応を示しています。今後はインフレ率や為替相場の動向を見ながら、中央銀行が追加利下げを行うかどうかが注目されます。

また、ロシアからミサイル防衛システムを購入した件で、米国は依然として制裁を行うか否かの正式な判断を下しておらず、引き続き不透明感がくすぶっていることはトルコ・リラにとってのリスク要因と考えられます。今後も引き続き対米関係には注目していく必要があります。

トルコ政策金利とCPIの推移
出所:トルコ統計局、トルコ中央銀行
       政策金利は2014年1月~2017年1月・2018年6月以降は1週間物レポート、
2017年2月~2018年5月は後期流動性貸出金利。
トルコ GDP成長率(前年比)
出所:IMF(2019年4月版)※2019年・20年は予想

「トルコの投資環境」の内容は作成日(2019年9月13日)時点のものであり、将来予告なく変更されることがあります。

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