ブラジル・レアルを取り巻く環境(2025年1月)
近年のブラジル経済は比較的良好な結果を残しています。2023年の実質GDP成長率は2.9%、2024年も3.0%程度となる見込みです。物価面においても、消費者物価上昇率が2023年は4.6%、2024年は4.8%となり、2024年はブラジル中央銀行の定めるインフレ目標(3±1.5%)を上回ることになりましたが、ブラジルにとっては安定圏と言えます。
ブラジル国内の経済指標は概ね好調であることが確認できますが、為替市場では、通貨レアルは対米ドルで最安値圏、対日本円で約2年ぶりの安値圏で推移しています。この主な背景には、外部および内部の要因が複合的に絡んでいます。
外部要因としては、米国景気が堅調であることから米利下げ観測が後退し、米国金利の高止まりが長期化するという市場の見通しがあります。なお、このドル高傾向は、ブラジル・レアルのみならず、他通貨にも同様の影響を与えています。
内部要因としては、ルラ政権による財政政策に対する不透明感が挙げられます。ルラ氏は2023年1月に再び大統領に就任し、当初は政府の歳出伸び率を歳入増加率の70%以内とする財政均衡策を行うなどの動きが好感され、ブラジル・レアルは堅調な動きを見せていました。しかし、2024年春に財政黒字化目標の先送りを発表し、2024年11月には低所得者層に対する所得税免除の拡大といった財政赤字膨張につながる施策が市場で警戒感を広げ、レアル安に転じました。
ブラジルの財政懸念は今に始まったことではなく、長年にわたって繰り返されてきた課題です。不要な歳出の削減に加え、複雑な税制度の簡素化や貧困や格差の是正による治安強化、貿易や投資の拡大を図るための国際社会との連携強化などを段階的に進めることで、ブラジルへの投資魅力の拡大ならびに通貨ブラジル・レアルの信認向上につながるといえるでしょう。
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