このぺージでは、利付債以外の債券にかかる税金や、外国税額控除の適用について説明いたします。
外国債券の利子に対して、国外で源泉徴収された外国所得税がある場合、まず外国で課税され、さらに国内でも課税されることから、国外と国内で二重に課税されることになります。この二重課税を排除するため、外国で課せられた税額を日本の所得税や住民税から控除する規定が設けられています。これが外国税額控除です。
外国税額控除のイメージ
外国税額控除の適用を受ける際の留意点
①所得税の控除限度額を計算します。
②外国所得税の額が所得税の控除限度額に満たない場合
外国税額控除額は、外国所得税の額となります。
③外国所得税の額が所得税の控除限度額を超える場合
外国税額控除額は、所得税の控除限度額と、次のA又はBのいずれか少ない方の金額の合計額となります。
A. 外国所得税の額から所得税の控除限度額を差し引いた残額
B. 次の算式により計算した復興特別所得税の控除限度額
外国で納められた税額が、所得税等の控除限度額を下回る場合のその差額を「控除余裕額」といい、逆に控除限度額を上回る場合のその差額を「控除限度超過額」といいます。控除余裕額または控除限度超過額が生じた場合は、その翌年以降の、確定申告を行うことにより、3年間繰り越すことができます。
ブラジル国債等、一部の債券は、確定申告により「みなし外国税控除」の適用を受けることができます。
■債券の利子にかかる控除額の上限
みなし外国税額控除とは、ブラジルなどの現地国において実際には納付していない外国税額相当額を納付したものとみなして、日本での外国税額控除の計算上、控除の対象となる外国税額に含めることができる制度です。
みなし外国税額控除の適用には、現地国と日本との間でみなし外国税額控除の規定を有する租税条約が締結されていることが要件とされています。
例えば、ブラジル国債の場合、ブラジル政府は、海外からの投資を促進するため非居住者が保有するブラジル国債の利子に課税していません。さらに、現時点では日本とブラジル間では租税条約が締結されているため、『みなし外国税額控除』の対象となります。日本の居住者がブラジル国債の利払金を受取る場合、実際にはブラジル国債の利子には現地課税はされていませんが、20%の課税がされたものとみなして確定申告を行うことで『みなし外国税額控除』が適用され、税金の還付が受けられます。
■リンク
ブラジル国債(USD建・BRL建)は利払金にかかる税金が戻ってくる可能性が。
外国債券の利払金には源泉徴収が課され、証券会社からは利払金総額から源泉徴収税額が差し引かれ、残額がお客さまに支払われます。(下図①)
源泉徴収された外国所得税相当額は、お客様にて確定申告を行うことで還付を受けることが可能です。(下図②)
※なお、2037年まで所得税額に対し2.1%の復興特別所得税が課税されますが、本制度では復興特別所得税は税額控除の対象にはなりません。仮に上限である20%(ブラジルの場合)が還付されたとしても、復興特別所得税の導入前と比べて、手取額が0.315%分減少することになります。
※外国税額控除の控除限度額は、他の国内外の所得の状況や申告内容によって異なります。その結果、外国所得税額の一部または全部が控除対象とならず、全額還付を受けられない場合があります。
図1 利払金受取時
図2 確定申告時
EB債(Exchangeable Bond)は「他社株転換可能債」といわれる金融商品で、債券であるにもかかわらず、償還日までの株価変動によっては、満期日に金銭(償還金)が支払われる代わりに、当該債券の発行者とは異なる会社の株式(他社株)が交付される場合もある債券です。
株式で償還を受ける場合(対象銘柄の株価が、評価日に行使価額を下回っている時)には、償還日における対象株式の終値が償還を受けた株式の取得価額とされます。そのため、EB債の取得価額と償還を受けた株式の取得価額の差額は償還損益となり、申告分離課税の対象となります。
◆2024年9月現在における制度・情報をもとに、個人(居住者)の所得についての税制を説明したものです。租税条約の規定や税制変更により、将来、外国税控除が適用できなくなる可能性があります。
税制の内容や税務上の具体的な取扱い、および、確定申告による有利判定等については税務署又は税理士等の専門家にご確認ください。
監修:税理士 宮嵜 侑一郎
2024年11月1日現在
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出所:各国中央銀行
※2024/11/11 8時50分時点