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今からはじめる信用取引!

今まで現物取引がメインで株式投資を行っていた方から、信用取引の経験があるものの完全には理解が深まっていない方を対象に解説したいと思います。

*文章内の手数料、費用等は原則当社のインターネット信用取引規定に準じます。

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信用取引って何?

信用取引とは、投資家が証券会社に委託保証金を差し入れて、資金や株式を借りて行う株式取引です。

一方で、投資家自身で用意した現金で株式を購入、売却を行うのが現物取引です。

預けた担保の約3倍の資金を借りて株式を買うことができる

一般的な売買手法と言われる現物取引ですが、信用取引の経験者も年々増えています。

個人の売買に占める現金・信用取引のシェア(2020年・売買代金ベース)では現金が36%、信用取引が64%となっています。(東京証券取引所 投資部門別 株式売買状況 東証第一部 より)

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信用取引の仕組み(資金や株式を借りて行う取引)

現物取引では用意した現金の範囲内で株式を購入します。

預けた担保の約3倍の資金を借りて株式を買うことができる

信用取引ではまず、担保となる現金や有価証券を証券会社に預けます。
信用新規買いの場合、最大で預けた担保の約3倍まで、資金を借りて株式を買うことができます。なお、資金を借りるため金利の支払いが必要で、当社の制度信用取引の場合では金利が年2.8%となっています。
約定代金100万円の場合、年間で2.8万円ですから365日で割ると1日あたり約76円になります。

信用新規売りの場合、最大で預けた担保の約3倍相当まで株式を借りて売る(売却)ことができます。こちらは金利ではなく、貸株料が年率1.15%かかります。

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新規買い(資金を借りて株を買う)

たとえば、A銘柄を1,000円で700株、信用新規買いを行うとします。
約定代金は1,000円×700株ですから700,000円になります。
この場合、投資家は当社から700,000円を年2.8%の金利で借りてA銘柄を買うことになります。

当社の委託保証金率は30%なので700,000円×30%で210,000円がこの取引で必要な保証金となります。
しかし、210,000円の保証金を預託すれば取引が始められる訳ではありません。
当社では、信用取引に必要な最低委託保証金を300,000円と定めておりますので少なくとも300,000円の預託が必要です。

その後、株価が1,300円に上昇したため返済売りを行いました。
1,000円で買い、1,300円で売ったため一株当たりの利益は300円となり、
この取引全体では
300円×700株で210,000円の利益になりました。
*手数料等、諸費用、税金等は考慮していません。

30万円の保証金で新規買い(1,000円×700株分)

取引の方法は現物取引と似ていますが、300,000円の保証金を用いて210,000円の利益が出たとすると資金効率の点で優れていると言えます。
もちろん予想に反して下落した場合は預託した保証金の額に比べて多額の損失を被ることとなりますのでリスクも大きくなります。
また、信用取引では損失が預託した保証金の額を上回る可能性もありますので、取引に当たっては十分な注意が必要です。

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新規売り(株券を借りて株を売る)

今度は、B銘柄を1,000円で1,000株、信用新規売りを行います。
この場合、投資家は当社からB銘柄を1,000株借りて1,000円で売却することになります。
約定代金は1,000円×1,000株ですから1,000,000円になります。

その後、株価は900円に下落したため買戻し、当社にB銘柄を返しました。
買戻しの費用は1,000株×900円=900,000円 になります。売却代金の1,000,000円との差額である100,000円が利益になります。
こちらも予想に反して上昇した場合は損失になります。
*手数料等、諸費用、税金等は考慮していません。

30万円の保証金で新規売り(1,000円×1,000株分)

現物取引では買いから始めて売りで損益を確定します。株価が右肩上がりの場合は良いのですが、株価が低迷すると利益を出すのが難しくなります。
一方で信用取引では売りから取引ができますから下落相場でも利益を狙うことが可能になります。
ただし、信用新規買いの場合は、株価が下がって0円になっても建玉金額以上の損失は発生しませんが、信用新規売りの場合は株価が無限に上昇する可能性があるので、損失の可能性も無限大であるため、信用新規買いと比べてよりリスクの高い取引と言えます。

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委託保証金率とは?

委託保証金率とは、信用取引において新規建てを行うために必要な委託保証金の約定(やくじょう)代金に対する割合です。当社の委託保証金率は30%です。
例えば、約定代金1000万円の新規建てをする場合、約定代金の30%に相当する300万円を委託保証金として差し入れる必要があります。

現物取引で約定代金200万円の株式を購入する場合は200万円の現金が必要です。便宜上、手数料等の費用は考慮しないでご説明します。
信用取引では200万円の30%である60万円があれば、200万円の株式を購入することができます。

仮に余裕資金が200万円であった場合、現物取引で200万円を使ってしまうとそれ以上の運用は不可能になってします。
一方で信用取引を利用して200万円の株式を購入すると、30%の60万円しか必要ありませんので残りの140万円を別の商品で運用することができます。
ただし、相場動向によっては追加の保証金が必要になる場合もありますので、ある程度の余裕をもった運用が望ましいでしょう。

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代用有価証券と二階建て取引について

委託保証金として、現金の代わりに有価証券を差し入れることができます。この差し入れた有価証券を代用有価証券といいます。
また、有価証券の種類によって、保証金として使用できる掛目が決められていて、株式の場合、原則として前日終値の80%となっています。 (当社の判断により掛目の変更等(代用有価証券からの除外を含む)が行われる場合があります。)

例えば、Aという現物株式を100株保有していて、前日の株価が10,000円であれば、
100株×10,000円=1,000,000円 の80%である 800,000円を委託保証金として利用することができます。

代用有価証券と同一の銘柄を、信用取引で新規買いをする取引を「二階建て取引」といいます。
これは相場が下落した場合、信用建玉の評価損が膨らむだけではなく、代用有価証券の評価も下がるために非常にリスクが高い取引といえます。
そのため、当社では二階建て取引を原則として禁止とさせていただいております。

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2種類ある信用取引

信用取引には制度信用取引と一般信用取引の2種類があります。
一般的に、多く利用されているのは制度信用取引です。

制度信用取引ができる銘柄には新規買いと新規売りの両方ができる「貸借銘柄」と新規買いのみができる「貸借融資銘柄」があります。
また、制度信用取引では返済期限が6か月であることが取引所規則で決められています。返済期限とは期日(きじつ)と言われ、その日までに返済等の対応が必要になります。
当社の期日は法定期日の前営業日となっており、ご対応の確認がとれない場合は翌営業日に当社の任意で決済することになります。

一方で、一般信用取引はお客様と当社の間で返済期限などを自由に設定できる信用取引です。当社で取り扱っているのは新規買いのみで、新規売りはお受けしておりません。
返済期限は原則無期限ですが、上場廃止・株式併合・合併・株式交換・株式移転等があった場合は、当社が定める期日が返済期限となります。
なお、買方金利が年4.00%と制度信用取引の2.80%よりも高めになっています。(2021年11月16日現在)

→比較表

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信用取引でかかるコスト

現物取引と同様に信用取引にも取引手数料がかかります。
また、取引手数料の他に下記のような諸経費が必要になります。


信用新規買いで必要なコスト

  • 買方金利
    資金を借りて株を買うために金利の支払いが必要です。
  • 管理費
    信用建株の約定日より1ヶ月を越えるごとに発生します。
  • 名義書換料
    信用買建株に対し、本決算や定款で中間決算等を定めている銘柄の決算基準日、 株式分割等の権利割当の基準日等の権利割当日を越えるごとにかかります。

信用新規売りで必要なコスト

  • 貸株料
    株式を借りて売ることになりますので貸株料が必要です。
  • 管理費
    信用建株の約定日より1ヶ月を越えるごとに発生します。
  • 逆日歩
    信用取引の売方の残高が多くなり、株券の調達が困難になった際には逆日歩(品貸料)を売方は支払い、買方は受け取ります。 (制度信用取引のみ)

以上のように信用取引は現物取引と違い、様々な経費がかかります。中長期の取引ではなく、短期の売買に向いていると言えましょう。

手数料・諸経費

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配当金はもらえる?株主優待は?

現物取引では権利確定日に株式を保有していれば、配当金を受け取ることができます。
また、持ち株数に応じて自社製品や優待券などを無料で配布する株主優待制度の対象にもなります。
では、信用取引で信用買建株を保有していた場合はどうなのでしょうか?

答えは、配当金は厳密には受け取ることはできませんが、配当調整金(配当金調整額もしくは信用配当金ともいいます。)として証券総合口座に入金されます。

なお、株主優待に関しては対象になりません。

権利確定日について

配当金を受け取るには特定の日の時点で株式を保有し、株主であることが必要です。この日を権利確定日と呼びます。

多くの場合、月末が基準日になるので、その日に株主であればいいのですが、株式の場合、受け渡し(決済)をするのが約定日の2営業日後となるため、月末の2営業日前までに購入することが必要です。

2021年11月であれば26日(金)までに購入すれば月末の30日(火)に受け渡しが成立しますので、26日(金)が権利付最終日となります。
なお、26日(金)の権利付最終日の翌営業日である29日(月)は権利落ち日と呼びます。

配当調整金について

配当調整金は、下記計算式により算出されます。

配当調整金=配当金−所得税源泉徴収相当額(所得税源泉徴収相当額=配当金 × 15.315%) 〜2037年12月31日まで

信用で信用買建株を保有して権利確定日をまたぐと配当調整金を受け取ることができます。
逆に信用で信用売建株を保有して権利確定日をまたぐと配当調整金を買い建て側に支払うことが必要になります。

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追証(おいしょう)について

信用取引は保証金を当社に預けることで、資金や株券を借りて売買を行います。
信用新規建てを行った後に、相場が予測と反対に動き、建株の評価損が増えたり、代用有価証券の評価額が下落したりすること等により追加で保証金の入金が必要となる場合があります。

この追加の保証金や、追加で保証金の入金が必要となる状態を「追証」と呼び、当社では委託保証金維持率が終値ベースで25%を下回ると対象になります。

委託保証金維持率は維持率とも呼ばれ、お取引中は毎日確認が必要です。

維持率 = 委託保証金 − 建株評価損 − 諸経費(金利など) × 100
建株総額(信用新規建て約定代金合計)

上記が維持率の計算式です。
例えば、1000円で1000株の信用新規建てを行った場合、1,000,000円が分母の建株総額になります。当社では維持率が25%を下回ると追証になるため、委託保証金から評価損と諸経費を差し引いた数字が250,000円を下回ると追証になります。

その際は基本的に翌々営業日(その日から起算して3営業日目)までに対応が必要です。
対応方法としては、追証金額の入金、もしくは建株の返済があります。建株を返済する場合は、返済建株代金の25%が追証金額から控除(減額)されます。

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不足金の発生について

信用取引を行っている際に、不足金が発生し入金が必要となる場合があります。
信用建株を返済し、損金が出た場合や現物株式を購入した場合等、その日から起算して3営業日目が受渡日となります。
維持率に余裕があれば信用保証金から決済代金を引き出すことが出来ますが、維持率が30%を下回っている場合は決済代金を引き出すことが出来ませんので入金が必要になります。

信用建株の返済以外で不足金が発生する可能性がある主な取引等には以下のものがありますので、受渡日にはご注意ください。

○現物株式等の買付

○品受の申込

○信用取引配当落調整金の支払い

○特定口座源泉徴収税額の徴収等

そのほかにも、建株の返済による損金の受渡日において、損金額が受入保証金の現金よりも多く発生している場合や、建株の評価損の拡大あるいは代用有価証券の値下がり等により、受入保証金額(代用含む)が30万円を下回る場合にも入金が必要となります。

当社では入金が必要となる日の前日18時以降に電子メールでお知らせをしていますので、信用建株を返済した場合等は受渡日前日の電子メールと取引画面をご確認ください。 なお、入金の期日までに当社への着金が確認できない場合、お取引の制限、又は当社の任意で建株及び代用有価証券の一部又は全部の強制処分をさせていただくことがございますので、ご注意ください。

 国内株式の委託手数料について

手数料には「一般コース」「ハイパーアクティブコース」の2つのコースがあります。
各コースの手数料の詳細はこちらをご覧ください。

 信用取引のリスクについて

信用取引は、少額の委託保証金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失が発生する可能性を有しています。したがって、信用取引の開始にあたっては、下記の内容を十分に把握する必要があります。

このように信用取引は、お客様の投資した資金に比べて大きな利益が期待できる反面、価格の変動が予想と違った場合には、損失も大きくなります。したがって、信用取引を利用するときは、その仕組みをよく知り、お客様自身の判断と責任において行うようお願いいたします。

※1 裏付け資産が、投資信託、投資証券等である場合には、その最終的な裏付け資産を含みます。
※2 営業店取引(20%未満)、コールセンター取引、 インターネット取引・オールアクセス取引(25%未満)となります。

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