創業は1853年 (嘉永6年)。ペリー来航による欧米列強への対抗に迫られた当時の江戸幕府が水戸藩に命じ、江戸隅田川河口の石川島に日本初の近代的造船所を創設したのが起源です。現在では造船で培った技術をもとに陸上機械、橋梁、プラント、航空エンジン、宇宙機器などの事業を行っています。
2021年3月期の売上構成比(4つの事業領域)は、資源・エネルギー・環境が29%、社会基盤・海洋が14%、産業システム・汎用機械が34%、航空・宇宙・防衛が22%です。
2月上旬に発表された2021年4-12月の売上収益は前年同期比6%増となる8,161億円、営業利益は455億円。北米などで旅客機の稼働が回復し、民間向け航空エンジンのスペアパーツ販売が復調したことに加えて、原子力発電所の再稼働に向けた工事も堅調だったほか、為替の円安影響などが前期比で増収増益の要因となりました。
今後の注目点は主力事業である航空エンジンの需要回復の継続です。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、民間向け航空エンジンの需要は大きく落ち込んでいましたが、同事業が回復基調となったことで直近四半期(2021年10-12月)での航空・宇宙・防衛事業は黒字化しました。同社は2022年度の民間向け航空エンジンの需要についてコロナ前の80%程度まで回復すると想定していますが、今後はその想定通りに需要が推移するかどうかに注目する必要があります。
セグメント | 主力事業 |
---|---|
資源 エネルギー 環境 |
原動機 原子力 カーボンソリューション |
社会基盤 海洋 |
橋梁・水門 都市開発 シールドシステム |
産業システム 汎用機械 |
車両過給機 パーキング 回転機械 熱・表面処理 |
航空 宇宙 防衛 |
航空エンジン ロケットシステム・宇宙利用 |
オフィス向け複写機やプリンターに強みを持つ事務機器の大手メーカー。同業種の日本企業はキヤノン、富士フイルム、コニカミノルタなど。
2月上旬に発表された2021年4-12月の売上高は前年同期比7%増となる1兆2,761億円、営業利益は257億円。前年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で出社率が低下したことを背景に、オフィス向けの複合機や消耗品の販売が減少したことなどにより営業赤字となりましたが、今期は複合機やプリンターなどの販売が好調だったことに加えて、パソコンやネットワーク機器などオフィス向けIT商材のパッケージ販売も日本や欧州で伸びたことが収益に寄与しました。
今後の注目点は、これまで取り組んできた「OAメーカーからの脱皮」と「デジタルサービスの会社への事業構造の転換」の更なる推進です。
リコーは、複写機やプリンターなどの商品・サービスを売るだけの会社から、同社が提供するデジタル技術・デバイスによってお客様の“はたらく”を変革する会社に生まれ変わることを掲げています。
3月3日に行われた会社説明会において、2021年度には39%だったデジタルサービスの売上比率を2025年度に60%以上に拡大する計画を明らかにしており、今後はその目標の進捗状況や達成度合いに注目が集まります。