ブラジル・レアルを取り巻く環境(2022年3月)
2022年に入ってからブラジル・レアルは上昇が継続しています。 ブラジル・レアル/円は2021年末は20円60銭台でしたが、現在は23円30銭台(2022年3月17日 8時時点)と10%以上の上昇となっています。
その背景として、ロシアがウクライナ侵攻を開始した2月24日に原油価格(WTI原油先物)が7年7ヶ月ぶりに1バレル=100ドル台の大台を突破するなど、資源価格が上昇していることが挙げられます。
また、ブラジル中央銀行による利上げ継続の姿勢もブラジル・レアルを下支えしている格好となっています。ブラジル中央銀行は3月中旬の金融政策決定会合で、9会合連続となる利上げを決定しました。
今後は10月2日に予定されているブラジル大統領選挙に注目が集まっています。
右派の現職ボルソナロ大統領は再選を目指していますが、世論調査では2003年から2010年に大統領を務めた左派のルラ元大統領に圧倒的にリードされており、再選に黄信号がともっています。
本来、ブラジルでは通貨の安定を図るためにも財政の健全化に取り組む必要がありますが、左派政権では大衆迎合による政府債務の膨張が懸念されているため、選挙が近づくにつれ、バラマキ財政を志向するポピュリズムが増大しないかどうかに注目する必要があります。
ブラジル・レアルを取り巻く環境には、主に次のようなリスク要因があると考えられ、注視する必要があります。
- ブラジル政府の財政赤字および公的債務の高さ、健全化が急務の財政
- 2022年大統領選の行方(ポピュリズム色を強める懸念)
一方で、以下に記したファンダメンタルズがブラジル・レアルを下支えすると考えられます。
- 政策金利の引き上げにより国内の景気は厳しい状況であるにも関わらず、ブラジル中央銀行は物価の安定が確認できるまでは金融引き締めを優先する姿勢を示していること。
- ブラジルは原油の生産量が世界8位(2020年)、鉄鉱石の生産量が世界2位(2019年)と資源大国であることで資源価格の上昇に関して恩恵を比較的受けやすいこと。