JTG証券

グローバル債券マーケット情報

新着

明治安田生命の概要と投資評価ポイント

[明治安田生命グループの概要]

- 明治安田生命は2024年3月期における連結年間保険料収入が3.3兆円、連結総資産が52.9兆円の巨大企業。
- 年換算保険料(2023年度)の大きさでは4大民間生命の第3位に位置する。
- 2024年9月に新発でドル建てのハイブリッド劣後債を起債したため、当面は流動性が高まりやすい。

[明治安田生命の連結ベースの経営状況と、国内外の事業状況]

- 2023年度の連結保険料(再保険を除く)は3.33兆円、前年比-9.0%の減収、海外事業の保険料は15%を占め前年比+10.6%の増収
- 2023年度における連結基礎利益は5,610億円となり前年比+39.6%の大幅増益
- 明治安田生命連結での当期純余剰(利益)は1,535億円(前年比+78.8%)の大幅な増益

[明治安田生命(相互会社単体)の経営状況]

@明治安田生命の保険事業の状況
- FY2023における単体保険料は2兆8,172億円、前年同期比で-11.8%減収。
- 単体基礎利益は4,989 億円となり、前年比で+34.3%の増益。
A明治安田生命の資産運用の状況
- 一般勘定運用資産残高は約46.8兆円とFY2022Q2以降増加継続。
- 2023年度の有価証券運用利回りは3.56%と極めて好調。資産別の運用利回りは、外国株式と不動産を除き上昇。ただし外国株式も依然として高水準。
B明治安田生命の経常利益の状況
- 明治安田生命の経常利益は2,310億円、前年比で-18.4%の減益。
- 臨時費用の拡大とキャピタル損益の赤字が寄与。

[明治安田生命の連結/単体のソルベンシー・マージン比率、ESRの状況]

- 金融監督指標である国内ソルベンシー・マージン比率は、グループ連結ベースで1033% 、明治安田生命単体ベースで996% と極めて安定した水準を維持(4社中1位)
- 2025年4月以降に適用される新たな監督指標であるESRでは、2024年3月末時点で220%との数値を開示。
いずれの指標からも、明治安田生命はきわめて健全な財務体質を有する保険会社と評価。

[明治安田生命の信用格付け、債券の投資機会の考え方]

- 信用格付け(明治安田生命ベース)は、国内格付機関でAA+格レベル、外資系格付機関でA+格レベル、劣後債格付けは外資系でA-レベル、と高い水準。
- 流通市場における新たな社債投資の可能性は米ドル建て債に限られやすいが2024年9月にドル建て劣後債(30NC10)を起債(固定クーポンは5.8%)。既発債との入れ替えも含め、流動性が高まりやすい環境。
- 明治安田生命の米ドル建て債は5.2%程度の利回りを維持しており、同社の安定したビジネスモデルを考えれば、投資対象としての組み入れを検討しやすい。
公開日:2024/9/6
発行体概要

日本生命の概要と投資評価ポイント

日本生命への債券投資を検討するにあたって、企業の概要から投資評価ポイントについて簡潔に解説する。

[日本生命の概要]

- 日本生命は、国内の民間4大生命(日本、第一、明治安田、住友)の1社であり、長年にわたり業界首位の保有契約高を誇る相互会社。
- グループ連結での年間保険料収入は約8.6兆円と、大手4社のうちの同業他社比で突出した高い水準。

[日本生命(連結)の経営状況と国内外の事業状況]

- 日本生命の連結保険料等収入は増収傾向。増分の多くは銀行販売チャネル(前年比+64.7%)と、営業職員チャネル(前年比+21%)に起因。
2023年度における連結基礎利益は7,640億円と前年比+59.4%と大幅な増益。 日本生命連結での当期純余剰(利益)も4,124億円(前年比+190.2%)と大幅増益。

[日本生命(相互会社単体)の経営状況]

@ 日本生命の保険事業の状況
- 2023年度における日本生命単体の保険料等収入は52,974億円(前年比+14%)と増収。基礎利益は7,087億円(前年比+42.1%)と増益。危険差益(死差益)が2,808億円(前年比+19.8%)、利差益が3,733億円(前年比+70.4%)の増益が寄与。他の国内四大生保より、国内事業が相対的に好調。
A 日本生命の資産運用の状況
- 2023年度末における日本生命の一般勘定運用資産残高は約82兆円とFY2022Q2以降増加継続。
- 日本生命の運用資産は様々なセクターに分散しているが、四大民間生命の中では、国内外の株式への投資比率が相対的に高いことが特徴の一つ。
- 2023年度末の運用利回りは2.00%まで低下(前年は2.08%)。資産別の運用利回りは、国内株の運用利回りが最も高い。
B 日本生命の経常利益の状況
- 2023年度の日本生命の経常利益は5,813億円、前年同期比+308.5%の増益。
- 内訳に基礎利益の増益、臨時費用の縮小が寄与。

[日本生命の連結/単体のソルベンシー・マージン比率、ESRの状況]

- 金融監督指標である国内ソルベンシー・マージン比率は、連結で1023%、単体で980%と極めて安定した水準を維持。民間大手生保4社の中で最も高い水準。
- 2025年4月以降に適用される新たな監督指標であるESRでは、2023年度の決算時に初めて224% (2023年3月末時点)。この数値も同業他社の中でも最も高い水準。
- 長らく安定性についても業界首位であったが、近年では明治安田生命に逆転されている。

[日本生命の信用格付け、債券の投資機会の考え方]

- 信用格付け(日本生命ベース)は、国内格付機関でAA+格レベル、外資系格付機関でA+格レベル、劣後債格付けは外資系でA-レベルと高い水準。JCRからは4大民間生命の中で1社のみ1ノッチ高い格付け評価を受ける。
- 流通市場における新たな社債投資の可能性は米ドル建て債に限られやすい。日本生命の米ドル建て債は5.2%程度(仲値気配ベース)の利回りを維持しており、同社の安定したビジネスモデルを考えれば、投資対象としての組み入れを検討しやすい
公開日:2024/9/5
発行体概要

国内生保劣後債へのクレジット投資の考え方

[国内生保発行の劣後債投資における制度上の理解の重要性]

- 金融機関は社会への影響力が強い為、特別な法的支援の枠組み(セーフティ・ネットワーク)が設けられている。
- 保険会社は2025年度からICSへと監督制度が変更される。

[ 保険会社特有の会計・法人形態の理解]

- 生命保険会社には相互会社と株式会社の二種類が存在。 - 債券投資家から見た会社形態別の最も大きな違いは適時開示義務の有無。

[金融システムへの影響からみた保険会社への公的支援可能性]

- 保険事業は経営上金融システムに影響を及ぼすような事業形態ではないため、日本の大手生命保険会社は国際基準行に相当。
- ただし「グローバルにシステム上重要な保険会社(G-SII)」に指定された欧米大手金融機関は、非保険事業が多いことが指定要因。
国内保険会社はむしろ安定した事業を行っているためにG-SIIに非該当と言える。
- 2013年の預金保険法改正により、保険会社にも預金保険法第126条に基づく公的支援が制度的に可能に。
ただし、同制度は流動性供給と資産買取りが主体。
- 金融システムへの悪影響が強くない限り、公的資金による資本注入などの支援は実施されにくい。
対象となりやすいD-SIBs(国内の金融システム上、重要な金融機関)には、国内保険会社は指定されていない。
- 生命保険会社の破綻の際は、契約のみ譲渡しその後解散するケース、もしくは更生特例法を適応させ経営破綻に
至るケースがほとんどとなっていた。

[国内生保が発行する劣後債投資と、公的支援への考え方]

- 保険ハイブリッド劣後債は、銀行のB3T2債に近い、負債と資本の性格を併せ持つ債券となっている。
- 銀行劣後債との違い;
  1. 国内基準に基づくソルベンシー・マージン比率と、
  2. 2025年以降に適用される経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR、公表済み)
- 「大きすぎてつぶせない(TBTF)」という議論は、保険会社には適用されない。
- 保険会社の劣後債投資では、信用格付けと監督指標のモニタリングが重要。
加えて、2024年度中は以下の2指標のモニタリングが重要。
  1. 国内基準に基づくソルベンシー・マージン比率と、
  2. 2025年以降に適用される経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR、公表済み)

[まとめ]

- 国内の大手生命保険会社は、高い信用格付けを有する社債の発行体
- 経営危機時の公的支援可能性は銀行に劣る一方で、銀行のように短期間で資金が流出して経営危機になる可能性が低いため、D-SIBsの指定は受けていない点は、投資評価上のプラス材料として考慮すべき。
- 新規制対応は、日本生命、明治安田生命などでは、順調に進んでいる。
- 日本の生保が発行しているハイブリッド劣後債は、銀行のTier2債に相当。破綻認定なしにベイルインが生ずるリスクはない制度設計。
銀行のAT1債(永久劣後債)より商品設計上、低リスクの可能性。
- 以上の観点から、日本生命、明治安田生命の米ドル建てハイブリッド劣後債には、安定保有を前提とした投資価値があると評価。
公開日:2024/9/4
セミナー

発行体概要

明治安田生命の概要と投資評価ポイント

[明治安田生命グループの概要]

- 明治安田生命は2024年3月期における連結年間保険料収入が3.3兆円、連結総資産が52.9兆円の巨大企業。
- 年換算保険料(2023年度)の大きさでは4大民間生命の第3位に位置する。
- 2024年9月に新発でドル建てのハイブリッド劣後債を起債したため、当面は流動性が高まりやすい。

[明治安田生命の連結ベースの経営状況と、国内外の事業状況]

- 2023年度の連結保険料(再保険を除く)は3.33兆円、前年比-9.0%の減収、海外事業の保険料は15%を占め前年比+10.6%の増収
- 2023年度における連結基礎利益は5,610億円となり前年比+39.6%の大幅増益
- 明治安田生命連結での当期純余剰(利益)は1,535億円(前年比+78.8%)の大幅な増益

[明治安田生命(相互会社単体)の経営状況]

@明治安田生命の保険事業の状況
- FY2023における単体保険料は2兆8,172億円、前年同期比で-11.8%減収。
- 単体基礎利益は4,989 億円となり、前年比で+34.3%の増益。
A明治安田生命の資産運用の状況
- 一般勘定運用資産残高は約46.8兆円とFY2022Q2以降増加継続。
- 2023年度の有価証券運用利回りは3.56%と極めて好調。資産別の運用利回りは、外国株式と不動産を除き上昇。ただし外国株式も依然として高水準。
B明治安田生命の経常利益の状況
- 明治安田生命の経常利益は2,310億円、前年比で-18.4%の減益。
- 臨時費用の拡大とキャピタル損益の赤字が寄与。

[明治安田生命の連結/単体のソルベンシー・マージン比率、ESRの状況]

- 金融監督指標である国内ソルベンシー・マージン比率は、グループ連結ベースで1033% 、明治安田生命単体ベースで996% と極めて安定した水準を維持(4社中1位)
- 2025年4月以降に適用される新たな監督指標であるESRでは、2024年3月末時点で220%との数値を開示。
いずれの指標からも、明治安田生命はきわめて健全な財務体質を有する保険会社と評価。

[明治安田生命の信用格付け、債券の投資機会の考え方]

- 信用格付け(明治安田生命ベース)は、国内格付機関でAA+格レベル、外資系格付機関でA+格レベル、劣後債格付けは外資系でA-レベル、と高い水準。
- 流通市場における新たな社債投資の可能性は米ドル建て債に限られやすいが2024年9月にドル建て劣後債(30NC10)を起債(固定クーポンは5.8%)。既発債との入れ替えも含め、流動性が高まりやすい環境。
- 明治安田生命の米ドル建て債は5.2%程度の利回りを維持しており、同社の安定したビジネスモデルを考えれば、投資対象としての組み入れを検討しやすい。
公開日:2024/9/6

日本生命の概要と投資評価ポイント

日本生命への債券投資を検討するにあたって、企業の概要から投資評価ポイントについて簡潔に解説する。

[日本生命の概要]

- 日本生命は、国内の民間4大生命(日本、第一、明治安田、住友)の1社であり、長年にわたり業界首位の保有契約高を誇る相互会社。
- グループ連結での年間保険料収入は約8.6兆円と、大手4社のうちの同業他社比で突出した高い水準。

[日本生命(連結)の経営状況と国内外の事業状況]

- 日本生命の連結保険料等収入は増収傾向。増分の多くは銀行販売チャネル(前年比+64.7%)と、営業職員チャネル(前年比+21%)に起因。
2023年度における連結基礎利益は7,640億円と前年比+59.4%と大幅な増益。 日本生命連結での当期純余剰(利益)も4,124億円(前年比+190.2%)と大幅増益。

[日本生命(相互会社単体)の経営状況]

@ 日本生命の保険事業の状況
- 2023年度における日本生命単体の保険料等収入は52,974億円(前年比+14%)と増収。基礎利益は7,087億円(前年比+42.1%)と増益。危険差益(死差益)が2,808億円(前年比+19.8%)、利差益が3,733億円(前年比+70.4%)の増益が寄与。他の国内四大生保より、国内事業が相対的に好調。
A 日本生命の資産運用の状況
- 2023年度末における日本生命の一般勘定運用資産残高は約82兆円とFY2022Q2以降増加継続。
- 日本生命の運用資産は様々なセクターに分散しているが、四大民間生命の中では、国内外の株式への投資比率が相対的に高いことが特徴の一つ。
- 2023年度末の運用利回りは2.00%まで低下(前年は2.08%)。資産別の運用利回りは、国内株の運用利回りが最も高い。
B 日本生命の経常利益の状況
- 2023年度の日本生命の経常利益は5,813億円、前年同期比+308.5%の増益。
- 内訳に基礎利益の増益、臨時費用の縮小が寄与。

[日本生命の連結/単体のソルベンシー・マージン比率、ESRの状況]

- 金融監督指標である国内ソルベンシー・マージン比率は、連結で1023%、単体で980%と極めて安定した水準を維持。民間大手生保4社の中で最も高い水準。
- 2025年4月以降に適用される新たな監督指標であるESRでは、2023年度の決算時に初めて224% (2023年3月末時点)。この数値も同業他社の中でも最も高い水準。
- 長らく安定性についても業界首位であったが、近年では明治安田生命に逆転されている。

[日本生命の信用格付け、債券の投資機会の考え方]

- 信用格付け(日本生命ベース)は、国内格付機関でAA+格レベル、外資系格付機関でA+格レベル、劣後債格付けは外資系でA-レベルと高い水準。JCRからは4大民間生命の中で1社のみ1ノッチ高い格付け評価を受ける。
- 流通市場における新たな社債投資の可能性は米ドル建て債に限られやすい。日本生命の米ドル建て債は5.2%程度(仲値気配ベース)の利回りを維持しており、同社の安定したビジネスモデルを考えれば、投資対象としての組み入れを検討しやすい
公開日:2024/9/5

アッヴィの概要と投資評価ポイント

[アッヴィの事業概要]

- アッヴィ(AbbVie Inc.)は免疫疾患、神経科学などの疾患領域に強みをもつ米国の医薬品メーカー
- FY2023年の総売上は543億米ドルで、製薬会社別売上高は4位
- 免疫系医薬品が総売上の約半分(48%)を占める一方で、がん腫瘍、美容系、神経科学系医薬品がそれぞれ各1割前後を占める構成

[アッヴィ製品の特許期限と創薬パイプライン]

- 最大のブロックバスターであったHumiraの特許はFY2023初頭に切れており、今後、2024年の終わりまでにRinvoqも特許切れを迎える予定。
2製品の売上占有率(FY2023)は34%。ただし、同社の創薬パイプラインのフェーズVにはRinvoqに関する特許が5件含まれており、Rinvoqの特許期間は実効的に延長される可能性も。
- アッヴィの総保有件数は他企業と比較して多くはないものの、各フェーズに対して20件以上と均等に配分。
- イミュノジェン社(がん腫瘍領域)、セレベル社(精神疾患や神経疾患)の買収により疾患領域を拡大。ただし、M&Aは財務を圧迫。

[決算動向]

- FQ2 2024 における全社ベースの売上高は前年度同期より+597(百万米ドル)伸長し14, 462(百万米ドル)に。
- 特許失効によるHumiraの減収を、Skyrizi、Rinvoqなどの製品の販売増で相殺。
- 結果、営業利益水準も安定維持。

[アッヴィ社債の投資評価]

-アッヴィ社債の市場スプレッドは、既に事業モデルの安定化を織り込み相当に水準が切り下がっている。しかし、その背景には明確なファンダメンタルの裏付けがある。よって同社社債に充分な投資価値があることは疑いがない。
-ただし、米国の大衆薬への依存度が高い同社社債は、他の製薬会社との相対評価で見た場合に、より米国の政治的リスクの影響を受けやすい点には注意が必要。この点から、20年超の社債よりも10年近辺の社債を推奨したい。
公開日:2024/9/3

ソフトバンクグループ 2024年度第1四半期決算とクレジット評価上の着目点

[2024年度第1四半期決算について]

- ソフトバンクGのFY2024Q1の売上高は1.7兆円と前年同期比で+9.3%の増収、純利益が105億円の黒字、株主帰属純利益は▲1,743億円だが赤字幅は縮小。
ただし、会計上の赤字は、必ずしもソフトバンクGの社債の元利金支払いの安定性に影響しない。

[クレジット投資上の注目指標について]

- 債務の返済余力の多寡の評価尺度として、LTV、NAV、現預金、有利子負債残高、キャッシュの創出能力、自己資本比率などを確認することが必要。
- 同社の保有株式価値はアーム株の上場と円安の進行により、2024/6末時点には38.3兆円まで増加。
NAVも2022/12末時点の13.9兆円をボトムとして反転上昇し、2024/6末には35.3兆円まで急拡大。
LTVは7.8%まで低下(返済余力が拡大)
- 2024/6末の単体ベースの手元流動性(コミットメントライン未使用枠を含む)は4.6兆円と高水準を維持
- 単体ベースの有利子負債は14.3兆円と横ばい。調整後の単体純有利子負債も2.98兆円と若干増加
- 自己資本比率は5四半期連続で上昇。一方、中長期の返済能力については、今後の市場環境に大きく依存

[経営方針の転換によるクレジット投資への影響可能性について]

- 負債と手元流動性を両建てで持ちつつ純有利子負債を圧縮している会社の財務指標や格付けは、企業の財務戦略の転換により容易に劣化。
- ソフトバンクGの社債投資家にとっての一番の潜在リスクファクターは、同社の財務方針の転換。

[社債流通市場の状況と投資機会]

- 2026年に償還を迎える米ドル建てシニア債で5.5%以上の利回りが確保可能。
一方、初回コール日まで2.8年の米ドル建てハイブリッド劣後債の慣例利回りは7.46%
(いずれも仲値ベースの気配値であり、実際に取引可能な価格とは異なる点に注意)。
- ソフトバンクGでは、社債の余裕を持った借り換えを実施。
- 同社のハイブリッド債のリプレイスメント(初回コールによる借換)可能性は安定的。
- ここから新規に投資を開始する社債投資家の場合には、米ドル建てハイブリッド債に
対する投資の効用はシニア債よりも、リスクあたりリターンの観点からより相対的に高い。
公開日:2024/9/2

製薬会社の事業モデルを理解する

各製薬会社における主要疾患領域別売り上げ構成比、それぞれの疾患領域別の各社
の商品別占有率を確認し、各企業の相対優位性に関する弊社の考え方を示す。

[製薬業界を疾患領域別市場で理解することの重要性]

‐ 製薬会社別市場:製薬業界で一定のプレゼンスを保つ製薬会社の近年の動向を確認することで、市場全体の動きや外部環境からの影響を確認することができる。
‐ 疾患領域別市場:医薬品はそれぞれ適応する疾患領域が異なるため、同水準の売上高が競合関係を示すとは限らない。疾患領域別に捉えることで、実際の競合関係の把握や正確なセグメント内における優位性の可視化が可能となる。

[製薬業界の制度面からの課題]

- 特許権:保護期間を保証する特許権が切れると、競合品が市場に台頭し従来の売上高がリスクに晒される。
- 薬価交渉制度:「メディケア」において支出額の大きい新薬から対象薬を選定し、公定薬価を設ける制度。特許権の保護期間に強制的に薬価を引き下げる制度。
- 製薬会社毎のブロックバスターの売上高の推移、将来性と安定性を確認。

[疾患領域別市場で見る製薬会社のプレゼンス]

- 疾患領域別市場の市場規模の推移や将来性と安定性について確認
- また、各市場で優位性を保っている企業についても確認。

[企業別の創薬モデルの分析例]

ファイザー、アッヴィ、ジョンソンエンドジョンソン、イーライリリー、ブリストルマーヤーズスクイブの5社を取り上げた。
公開日:2024/8/26

ドイツ銀行 訴訟リスクをどうみるか?

本動画では、ドイツ銀行のY2024 Q2までの決算と、今回の決算で注目された訴訟リスクや規制強化に伴う信用コスト増大リスクに関するアップデートも行います。

[ドイツ銀行債の投資評価方針]

- 個社要因(財務指標等)は事業構造改革により改善を継続。投資評価のプラス要因
-外部要因(訴訟、経済減速、規制強化)は、投資評価のマイナス要因。

[ドイツ銀行の個社要因(FY2024 Q2決算概要と、財務面からの評価)]

-2019年以降、事業構造改革を継続により、純収益は安定成長。
-主要3セグメントのうち、投資銀行事業は大幅な増収。コーポレートバンク事業とプライベートバンク事業は横ばいと減収。
-FY2024 Q2には税前利益が1/4程度に急減。訴訟引当金の計上による影響を除けば、おおむね近年の水準を維持。税前利益率もFY2024 Q2に5.4%に急落したが、同一時影響を除くと、23.0%と従前なみの利益率を維持。
-利益率は欧州主要行に比べ低いが改善を継続。ソシエテジェネラルよりは上位に逆転。

[ドイツ銀行に影響する外部要因]

- ドイツ銀行の信用力に影響しうる3つの外部リスク要因について考察。
- ポストバンク訴訟による賠償金積み増しリスクは、Q1決算の公表直後に顕在化。過去の買収取引に関連しているため、賠償債務の上限は収まりやすい。ただし、裁判費用(弁護士費用)は今後も継続して必要。
- 監督当局が実施するストレステストにおいて、マクロ経済へのストレスが生じてもAT1債のベイルイン可能性は充分に抑制。ただし、ストレス時におけるドイツ銀行のコール・スキップや一時的な配当停止可能性などは、他の欧州主要行よりも高い。
- ECB(欧州中央銀行)では、主にレバレッジド・ファイナンスの質的劣化に備えて、検査を厳格化し、銀行に大幅な引当金の積み増しを求めることを検討。企業向け与信を得意とするドイツ銀行では、同監督強化による悪影響をより強く受けやすい可能性も。

[ドイツ銀行債の投資評価]

-ドイツ銀行の発行体格付けはそれぞれ2度の格上げを受け、2024年までにA/A1/A-格まで回復。現在の発行体格付けは、主要米銀と遜色ない水準。
(i). Tier2債(期限付劣後債)、TLAC債(非優先シニア債)の投資評価;投資の効用が高い
(ii). AT1債(永久劣後債)の投資評価;外部要因による時価下落リスクが存在。投資を開始するには不適切なタイミング。既存の保有ポジションは売却・乗り換えを推奨。
公開日:2024/8/22

マーケット動向

週次:米国債券市場動向(2024/9 第1週)

2024年8月23日から8月31日までの週次の米国債券市場動向を確認し、起債市場、流通市場の取引金額、流通市場の価格変化について報告する。

(1)起債市場の傾向

-起債額の特に大きかった案件は、8月27日に発行したスーパーマーケット&薬局セクターの「クローガー」の105億ドルの起債。債券の本数は7本、年限は2〜40年、優先債調達。
クローガーの巨額起債は、大規模スーパーマーケットチェーンのアルバートソンズとの合併交渉を踏まえたもの。同問題はオレゴン州に8つの州とコロンビア特別区が連邦取引委員会(FTC)に加わるなど政治問題化。
-2番目は、8月27日に発行した国際機関セクターの「欧州投資銀行」の50億ドルの起債。債券の本数は1本、年限は5年、優先債調達。通常の投資業務の資金を調達する普通債を8/27に50億ドル発行、その前後に環境対応資金を調達するための気温意識向上債(CAB)も起債。

(2)流通市場における取引金額

- 2024年8月23から8月31日までに取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債は「バンク・オブ・アメリカ」で、「JPモルガンチェース」がそれに続く形。ただし、前週より取引金額規模は縮小。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「クローガー」が最も多く取引された。
- 投機級債では、オクシデンタルペトロリアムが2024年8月末までに償却される債務23億米ドルに対し資産の売却と調達を進め、短期的なバランスシートの改善を達成、買い材料に。

(3)流通市場における価格動向

- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
- 8月初頭の米国債金利の急落後は、修正後の水準をおおむね維持しながら推移していたが、5年〜20年にかけての順イールド化が進展。
- 米国市場の社債利回りは、前週には国債利回りの低下に合わせ全般に低下したが、本期間ではほぼ横ばいで推移。
- 米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは旅客航空輸送業セクターのアメリカン航空。
次いで上昇したジョン・ディア・キャピタル債の市場価格の背景には、これまで世界の建築や農業が減速する中で、特に売られ過ぎていた同社債に、売り圧力と買い戻しが発生したことにある。
- 債券価格が下落で目立ったのは米ディスカウントチェーン、ダラー・ゼネラルの社債。主要顧客の低所得者層が支出を控え、通期の売上高見通しを下方修正したことが影響。
- 投機級債で、最も下落したのは娯楽コンテンツセクターのAMCネットワークスだった。
-外国籍事業法人の投資適格債で、最も価格が上昇したのは再生可能エネルギーへの投資を重視する総合電力事業者のエネル・チリ債。同社は、国内最大規模のハイブリッド再生可能エネルギー発電センターとなるPFVラスサリナスの商業運転を7月末に無事に開始させ、CFの改善が期待されることも材料視された。
外国籍事業法人の投機級債で、最も上昇したのは化学工業セクターのUPLだった。
-外国籍事業法人の社債で最も価格が下がったのは、前週に引き続きメキシコ石油公社(PEMEX)。メキシコ・ペソ安が継続し2022年並みの20ペソ/米ドルに近づいたこともあり、ドル負債資金の調達懸念から続落。
また外国籍事業法人の投機級債で、最も下落したのは林産物・紙製品製造セクターのマーサー・インターナショナル。。

(4) まとめ

- 先週は、株価下落に伴い米国国債金利が低下した中で、米短期金利は低下するも、長期債金利は反転上昇。
- 当面、ドル円レートは140円台のボックス圏、米10年国債利回りは3%台後半で推移すると想定。
公開日:2024/9/3

週次:米国債券市場動向(2024/8/26版)

2024年8月19日から8月23日までの週次の米国債券市場動向を確認し、起債市場、流通市場の取引金額、流通市場の価格変化について報告する。

(1)起債市場の傾向

-起債額の特に大きかった銘柄はソフトウエア&サービスセクターの「ローパー・テクノロジーズ」。資金使途は、既存債務の借り換えを含む一般的な資金繰り。
-この他、8月22日に発行したハードウェアセクターの「CDW/CDWファイナンス」の12億ドルの起債も同時起債の大型案件。債券の本数は2本、年限は5〜10年、優先債調達が行われた。

(2)流通市場における取引金額

-2024年8月19日から8月23日までに取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
-最も債券の取引額が多かった金融機関債は「バンク・オブ・アメリカ」で、「JPモルガンチェース」がそれに続く形。ただし、前週より取引金額規模は縮小。
-事業会社のうち、投資適格債券では「クローガー」が最も多く取引された。大規模スーパーマーケットチェーンの、クローガーとアルバートソンズの合併案に対し、連邦取引委員会(FTC)の反トラスト規制当局が反対、仮差止命令の請求を認めるかどうかが週明けに判断されることが、材料視された。
-一方、投機級債券では「ベクターグループ」の取引額が多かった。日本のJTグループに約24億ドルで買収されることに合意、同社の発行体格付けはB格相当、JTはA格相当であることから実質的な信用力の改善を評価、ベクターグループ社債に買い需要が集まった。

(3).流通市場における価格動向

-ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
-前週の米国債金利は急落後の水準をおおむね維持しながら推移。米国市場の社債利回りは、国債が微増(10Yは微減)に転じたのに対し、全体的には先週に続き下落傾向。
-米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは公益事業セクターのコンシューマーズ・エナジー。一方で、最も下落したのは、探査・生産セクターのデボン・エナジー。
-外国籍事業法人の投資適格債で、金属・鉱業セクターのABJAインベストメント。一方で、最も下落したのは石油:総合セクターのメキシコ石油公社(PEMEX)。

(4)まとめ

-先週は、米国国債金利が低下した後の、イールド・ハンティングより年限の長い社債、低格付けのHY社債が買われる展開となった。
-ジャクソンホールでの9月利下げへの言及もあり、当面、9月のFOMCまでは利下げ方向の圧力がかかりやすい相場環境と考える。
公開日:2024/8/26

週間米国債券市場動向

2024年8月12日から8月16日までの週次の米国債券市場動向を確認し、起債市場、流通市場の取引金額、流通市場の価格変化について報告する。

(1)起債市場の傾向

起債額の特に大きかった案件は、8月16日に発行した総合銀行セクターの「ドイツ銀行」(Deutsche Bank)の151.96億ドルの起債。債券の本数は1本、年限は20年、優先債調達。TLAC拡充を目的とした大型起債案件。
2番目は、8月14日に発行した医薬品セクターの「イーライリリー」(Eli Lilly and Co)の50億ドルの起債。債券の本数は5本、年限は3〜40年、優先債調達。開発コストやM&Aが拡大している製薬業界の大型起債案件。

(2)流通市場における取引金額

最も債券の取引額が多かった金融機関債は「バンク オブ アメリカ」債、次点で「JPモルガン チェース」債。
事業法人債の投資適格(IG)債では、投資適格債券では「イーライ リリィ」が最も多く、「メタ プラットフォームズ」、「メキシコ石油公社(ぺメックス)」がそれに続く形。
投機級(HY)債では、短期債務削減目標の達成がほぼ確実となった「オクシデンタル ペトロリアム」の取引額が多かった。

(3)流通市場における価格動向

- 前週の米国債金利の急落後は、修正後の水準をおおむね維持しながら推移し、5年近辺及び、流動性の乏しい11-12年近辺の金利が最も低下。
- 5年〜20年にかけての順イールド化が進展。
- 低格付け債ほど利回りが縮小、縮小要因はほぼスプレッドのタイト化。利回り低下の中で、イールド・ハンティングが進んだことが原因。
- 米国籍の投資適格債で、最も価格が上昇したのはウエスタンデジタル、下落したのはディスカバリー・コミュニケーションズ。
- 外国籍の投資適格債で、最も価格が上昇したのはメキシコ石油公社(PEMEX)、下落したのはエクイノール。
公開日:2024/8/21

トピックス

金融相場下落と米国の銀行リスク

株式相場が不調になると短期のストーリーとして語られやすい「金融リスク」だが、銀行などのリスクは、短期的な業績変動では捕捉しにくく、過度に反応すべきものではない。

1.リスク要因と、米銀ストレステストの概要

- 2024年の米銀ストレステスト結果;深刻な景気後退期にも、CET1自己資本は -2.8%の悪化に留まる。FRBでは米国では「銀行起因の金融システミック・リスクが生る可能性は十分に低く」、許容できる範囲内、との見解。
- 経済へのストレス時に、米銀の資本に追加損失を与えやすい要因; クレジットカード債権、事業者向け貸出金、商業用不動産、他の消費者ローン。担保保全されている第一抵当住宅ローンのリスクはかなり限定。
- 事業者向け貸出金のリスクが大きい銀行; JPモルガン、キャピタル・ワン、USバンコープ- クレジットカード債権のリスクが大きい銀行;3大商業銀行、キャピタル・ワン、PNCファイナンシャル、トゥルイスト・ファイナンシャル、USバンコープ
- 商業用不動産債権のリスクが大きい銀行;ウェルズ・ファーゴ、キャピタル・ワン、PNCファイナンシャル、トゥルイスト・ファイナンシャル、USバンコープ

2. 米銀のリスク要因資産配分状況

- G-SIBsで商業用不動産向けの融資が多いのはウェルズ・ファーゴ、クレジットカード等債権が多いのはシティグループ
- 国内行のキャピタル・ワンはクレジットカード債権が過半を占める。ニューヨーク・コミュニティ・バンコープは商業用不動産向け融資が突出。これら2行は特異なビジネス形態。

3. まとめ

-「金融リスク」は、市場全体の統計だけを見るのではなく個別の差を勘案することも必要。- 商業用不動産やクレジットカードのリスクでも銀行毎に相当な差異が存在。
- 市場が一様なリスクを債券価格に織り込むようであれば、他の銘柄にはむしろ投資機会を提供しうる。
公開日:2024/8/15

セミナー

国内生保劣後債へのクレジット投資の考え方

[国内生保発行の劣後債投資における制度上の理解の重要性]

- 金融機関は社会への影響力が強い為、特別な法的支援の枠組み(セーフティ・ネットワーク)が設けられている。
- 保険会社は2025年度からICSへと監督制度が変更される。

[ 保険会社特有の会計・法人形態の理解]

- 生命保険会社には相互会社と株式会社の二種類が存在。 - 債券投資家から見た会社形態別の最も大きな違いは適時開示義務の有無。

[金融システムへの影響からみた保険会社への公的支援可能性]

- 保険事業は経営上金融システムに影響を及ぼすような事業形態ではないため、日本の大手生命保険会社は国際基準行に相当。
- ただし「グローバルにシステム上重要な保険会社(G-SII)」に指定された欧米大手金融機関は、非保険事業が多いことが指定要因。
国内保険会社はむしろ安定した事業を行っているためにG-SIIに非該当と言える。
- 2013年の預金保険法改正により、保険会社にも預金保険法第126条に基づく公的支援が制度的に可能に。
ただし、同制度は流動性供給と資産買取りが主体。
- 金融システムへの悪影響が強くない限り、公的資金による資本注入などの支援は実施されにくい。
対象となりやすいD-SIBs(国内の金融システム上、重要な金融機関)には、国内保険会社は指定されていない。
- 生命保険会社の破綻の際は、契約のみ譲渡しその後解散するケース、もしくは更生特例法を適応させ経営破綻に
至るケースがほとんどとなっていた。

[国内生保が発行する劣後債投資と、公的支援への考え方]

- 保険ハイブリッド劣後債は、銀行のB3T2債に近い、負債と資本の性格を併せ持つ債券となっている。
- 銀行劣後債との違い;
  1. 国内基準に基づくソルベンシー・マージン比率と、
  2. 2025年以降に適用される経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR、公表済み)
- 「大きすぎてつぶせない(TBTF)」という議論は、保険会社には適用されない。
- 保険会社の劣後債投資では、信用格付けと監督指標のモニタリングが重要。
加えて、2024年度中は以下の2指標のモニタリングが重要。
  1. 国内基準に基づくソルベンシー・マージン比率と、
  2. 2025年以降に適用される経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR、公表済み)

[まとめ]

- 国内の大手生命保険会社は、高い信用格付けを有する社債の発行体
- 経営危機時の公的支援可能性は銀行に劣る一方で、銀行のように短期間で資金が流出して経営危機になる可能性が低いため、D-SIBsの指定は受けていない点は、投資評価上のプラス材料として考慮すべき。
- 新規制対応は、日本生命、明治安田生命などでは、順調に進んでいる。
- 日本の生保が発行しているハイブリッド劣後債は、銀行のTier2債に相当。破綻認定なしにベイルインが生ずるリスクはない制度設計。
銀行のAT1債(永久劣後債)より商品設計上、低リスクの可能性。
- 以上の観点から、日本生命、明治安田生命の米ドル建てハイブリッド劣後債には、安定保有を前提とした投資価値があると評価。
公開日:2024/9/4

グローバル事業債投資の考え方

本セミナーでは、グローバル事業債の投資にあたっての考え方を紹介します。
実際に個別債券への投資を開始するにあたり、例えば「米ドル建て債券の選び方」については、さまざまな角度からの検討が必要です。
本セミナーでは、以下の3段階の材料から、銘柄の絞り込みに向けた考え方を整理します。
  1. 投資家自身の効用、資金規模
  2. 短期的な市場環境、変動要因、為替を考慮した円ベース投資戦略
  3. 長期的な安定性、格付け/ビジネス・モデル分析の違いと信用リスク評価
公開日:2024/8/28

各国中銀の政策決定会合を受けた、為替見通しと外貨建て債券投資の考え方

[2024年7月のFOMC声明、議長記者会見で示されたメッセージ]

- 政策金利の目標レンジを5.25-5.50%に維持(8回連続)。
- インフレ目標に向けた現状認識を変更、「さらに」緩やかに進展。

[米国のインフレ状況と金融政策への影響]

- (1) GDPと経済成長、(2) インフレ状況、(3)勤労者の雇用と所得、消費の状況について詳細データを確認。
- 経済指標・物価動向・労働市場のいずれの面から見ても、利下げを急ぐ段階にはない。

[弊社の金利想定と着目点]

@ 前提 ; FRBが「株式相場をサポート」したり、「大統領選候補者の要望に応える」などの目的で利下げの判断を行うことは決してない。ただし、株式相場の神経質な動きに、債券の市場価格が連動しやすい状況は当面継続A 弊社の米国相場想定:(i) 2024年中はQ4に2回の利下げ、(ii) 2025年6月までに計3回程度の利下げ(→4.75%)、2025年末までに計4回程度(→4.5%)の利下げを想定。
(iii) 米10年金利は2025年6月末に3.97%まで、2026年6月末に3.87%まで低下(iv) 為替は、2025年6月末に144.0円/ドル、2026年6月末に143.0円/ドル? 円から見た米ドル建て債券への投資スタンス;
- (i) デュレーションの長い(20年程度)米国国債、10年程度の米国投資適格社債で一定の直利を得られる債券を重視。
- (ii) イールドカーブの正常化により、超長期の金利の下がり方が若干スローダウンする可能性もあるため、ゼロクーポン債による投資は推奨しない。
- (iii) 今回の変動は市場価格のみの動きで金融システムの動揺はない。銀行劣後債などのスプレッド拡大は必ずしもリスクの増大を意味していない。米ドル建てのTLAC債、邦銀の銀行劣後債等に投資機会が生じやすい。
一方で、低格付け債(ハイイールド債)やレバレッジローン・ファンドなどの低格付け事業債では時価の下落が生じやすいポジションは圧縮し、ドルベースで現金性の高いポジションに退避しておくことも有効か。
公開日:2024/8/15

債券投資入門

信用格付の落とし穴~格付の効用と限界

本動画では、債券投資において非常に重要な「信用格付け」が持つ、さまざまな特性や偏りについて紹介いたします。格付けは投資判断を行う上で重要な情報ですが、実際には各タイミング毎にその格付け記号が表すリスクの大きさ自体が常に変化していく指標です。その他にもさまざまな偏りがあります。こうした特性を理解することは、より効率的な投資を行う上で非常に重要です。本セミナーでは、以下のような切り口について、データを交えて紹介いたします。
  1. 時期による格付けと本当の信用リスクの差異
  2. 地域による格付けと本当の信用リスクの差異
  3. 同一発行体への格付機関による付与格付けと本当の信用リスクの差異
  4. 格付付与方法の違いによる債券格付けと本当の信用リスクの差異
  5. 格付機関の「デフォルト定義」による格付けと本当の信用リスクの差異
  6. ソブリン/金融/事業会社など、対象による格付けと本当の信用リスクの差異
  7. 回収率に関する違い(一般に信用格付けには反映されない)
  8. 自国通貨建て格付/外貨建て格付の違い(主に、エマージング国など)
  9. 格付機関の誤謬(例. 偶発債務の認識、直接金融・間接金融における資金調達能力の違いの認識の差等)
公開日:2024/8/26

ご投資にあたって

金融商品への投資には、各種リスクとご負担いただく費用等がございます。主なリスクとしては、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等及び有価証券の発行者の信用状況(財務・経営状況含む)の悪化等、それらに関する外部評価の変化等により損失が生じるおそれ(元本欠損リスク)があります。また、信用取引やデリバティブ取引などを行う場合には、対象となる株式等または指標等の価格変動により、損失の額がお客様の差し入れた委託保証金などの額を上回るおそれ(元本超過損リスク)があります。ご負担いただく費用については こちら をご参照ください。尚、商品毎にリスク及びご負担いただく費用等は異なりますので、当該金融商品等の上場有価証券等書面、契約締結前交付書面、目論見書、及びお客様向け資料等をよくお読みください。

免責事項

上記ご案内の各種レポートをはじめとする当社の提供する投資参考情報等(以下「投資参考情報等」といいます。)は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されたものですが、当社はその正確性、完全性、適時性を保証するものではありません。本資料を参考にして投資等を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、当社は、理由の如何を問わず責任を負いません。 投資参考情報等は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の銘柄等の勧誘、売買の推奨または相場動向の示唆・保証等を行なうものではありません。投資に関する最終判断は、お客様ご自身の責任で行っていただくようにお願い申し上げます。また、投資参考情報等はお客様ご自身のためにのみ、お客様限りでご利用ください。尚、当社の事前の承諾なく、投資参考情報等の全部もしくは一部を引用または複製、転送等により使用することを禁じます。

利益相反情報について

当社および関係会社又はその役職員は、投資参考情報等に記載された金融商品のポジションを、過去に保有していた場合、現在保有している場合、あるいは将来保有する場合があります。また、投資参考情報等に 記載された金融商品の発行会社等に対して、引受等の投資銀行業務、その他のサービス提供の勧誘を行なう場合があります。当社の役員(会社法に規定する取締役、監査役又はこれに準ずる者をいいます。)が、以下の会社の役員を兼務しております。 兼務先会社名:Jトラスト株式会社、株式会社KeyHolder、株式会社ミライノベート
サイト表示切替