【トピックス】金融相場下落と米国の銀行リスク(2024年8月15日)
本動画では、AT1債(Additional Tier1債券)について言及しています。AT1債は、あらかじめ定められた自己資本基準に抵触する場合や、規制当局が裁量により金融機関を「破綻」とみなした場合等には、元本の一部または全部が削減される、あるいは強制的に株式に転換されるリスク等があるなど、一般的な債券と比較してリスクが高く複雑な金融商品となります。従いまして、相応の投資に関する知識・経験、金融資産及びリスク許容度をお持ちで、高いリスクを取ってでもより高い利回りを追求される投資目的をお持ちのお客様に適合する金融商品となります。その点を予めご了承の上、動画をご覧いただきますよう、宜しくお願いいたします。
動画の説明(再生時間:15:12)
株式相場が不調になると短期のストーリーとして語られやすい「金融リスク」だが、銀行などのリスクは、短期的な業績変動では捕捉しにくく、過度に反応すべきものではない。
- 経済へのストレス時に、米銀の資本に追加損失を与えやすい要因; クレジットカード債権、事業者向け貸出金、商業用不動産、他の消費者ローン。担保保全されている第一抵当住宅ローンのリスクはかなり限定。
- 事業者向け貸出金のリスクが大きい銀行; JPモルガン、キャピタル・ワン、USバンコープ- クレジットカード債権のリスクが大きい銀行;3大商業銀行、キャピタル・ワン、PNCファイナンシャル、トゥルイスト・ファイナンシャル、USバンコープ
- 商業用不動産債権のリスクが大きい銀行;ウェルズ・ファーゴ、キャピタル・ワン、PNCファイナンシャル、トゥルイスト・ファイナンシャル、USバンコープ
- 国内行のキャピタル・ワンはクレジットカード債権が過半を占める。ニューヨーク・コミュニティ・バンコープは商業用不動産向け融資が突出。これら2行は特異なビジネス形態。
- 市場が一様なリスクを債券価格に織り込むようであれば、他の銘柄にはむしろ投資機会を提供しうる。
1.リスク要因と、米銀ストレステストの概要
- 2024年の米銀ストレステスト結果;深刻な景気後退期にも、CET1自己資本は -2.8%の悪化に留まる。FRBでは米国では「銀行起因の金融システミック・リスクが生る可能性は十分に低く」、許容できる範囲内、との見解。- 経済へのストレス時に、米銀の資本に追加損失を与えやすい要因; クレジットカード債権、事業者向け貸出金、商業用不動産、他の消費者ローン。担保保全されている第一抵当住宅ローンのリスクはかなり限定。
- 事業者向け貸出金のリスクが大きい銀行; JPモルガン、キャピタル・ワン、USバンコープ- クレジットカード債権のリスクが大きい銀行;3大商業銀行、キャピタル・ワン、PNCファイナンシャル、トゥルイスト・ファイナンシャル、USバンコープ
- 商業用不動産債権のリスクが大きい銀行;ウェルズ・ファーゴ、キャピタル・ワン、PNCファイナンシャル、トゥルイスト・ファイナンシャル、USバンコープ
2. 米銀のリスク要因資産配分状況
- G-SIBsで商業用不動産向けの融資が多いのはウェルズ・ファーゴ、クレジットカード等債権が多いのはシティグループ- 国内行のキャピタル・ワンはクレジットカード債権が過半を占める。ニューヨーク・コミュニティ・バンコープは商業用不動産向け融資が突出。これら2行は特異なビジネス形態。
3. まとめ
-「金融リスク」は、市場全体の統計だけを見るのではなく個別の差を勘案することも必要。- 商業用不動産やクレジットカードのリスクでも銀行毎に相当な差異が存在。- 市場が一様なリスクを債券価格に織り込むようであれば、他の銘柄にはむしろ投資機会を提供しうる。
公開日:
#経済見通し#米国#銀行
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