【マーケット動向】週次:米国債券市場動向 (6月第3週)(2025年6月23日)
動画の説明(再生時間:10:24)
本動画では、6月13日から6月20日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。(起債額と取引額は6月16日〜6月20日まで)
- ただし、週末にアメリカ軍がイラン核施設への爆撃を実施、相場のトレンドを大きく変える変動要因に。
- さらにイランがホルムズ海峡などの封鎖を議会決議(最高評議会判断は未決)したことなどを受け、国際原油相場は急騰。さらに中東と他地域の原油価格差が拡大。
- 原油価格が上昇すれば、石油消費国でコストプッシュ要因によるインフレ圧力が高まりやすい。輸入に不安がない米国でも、世界相場に合わせて上昇。
ただし、エネルギー輸入への依存度が高く安定性に不安を抱える地域では、通貨安につながりやすい。
→ ドル長期金利は上昇しやすく、イールド・カーブは再度、スティープ化 (傾きが増す)へ
→ 円長期金利は主に景気への不安から若干の低下方向へ、イールド・カーブはフラット化(傾きが減る)へ
→ ドル/円レートには、円安圧力がかかりやすい。
- 投資適格(AA〜BBB格)及び上位投機級(BB格) 債のスプレッドは、ほぼ動かず。
- BBB格の投資適格債が相対的に割安な状況は変わらず。
- 米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは管理医療セクターのユナイテッドヘルス・グループ。ユナイテッド・ヘルスは、2025年6月17日付で4シリーズ、合計30億ドルの米ドル建てシニア無担保債券を発行しており、新発の2030年債・2035年債と、既発の2031年債との入れ替え目的での取引が増加、2031年債の単価が上昇した。
- 時価が下落したのは、米国籍事業法人の投資適格債で、最も下落したのはソフトウエア&サービスセクターのオラクル。オラクルは、6/11に公表のQ4決算が好調だったため、株価・社債価格ともに急騰していたが、市場が十分に織り込んだことを受け、若干の反転下落。オーバーパーの社債がより強い売り圧力に。
- 劣後債で一番起債額の大きかった案件は、6月18日に発行した銀行セクターの「オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ) 」の12.5億ドル(6.068%クーポンで法定年限は11年)。オーストラリアの金融規制変更に対応し、AT1債の償還時に今後はTier2債+CET1資本(普通株式や利益剰余金など)で借り換えることに。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「ユナイテッドヘルス・グループ」が最も多く、「オラクル」、「AT&T」がそれに続く形。
[まとめ]
- 前週は、各国中央銀行の金融政策がほぼ現状維持だったこともあり、債券市場はわずかな動きに留まった。- ただし、週末にアメリカ軍がイラン核施設への爆撃を実施、相場のトレンドを大きく変える変動要因に。
- さらにイランがホルムズ海峡などの封鎖を議会決議(最高評議会判断は未決)したことなどを受け、国際原油相場は急騰。さらに中東と他地域の原油価格差が拡大。
- 原油価格が上昇すれば、石油消費国でコストプッシュ要因によるインフレ圧力が高まりやすい。輸入に不安がない米国でも、世界相場に合わせて上昇。
ただし、エネルギー輸入への依存度が高く安定性に不安を抱える地域では、通貨安につながりやすい。
→ ドル長期金利は上昇しやすく、イールド・カーブは再度、スティープ化 (傾きが増す)へ
→ 円長期金利は主に景気への不安から若干の低下方向へ、イールド・カーブはフラット化(傾きが減る)へ
→ ドル/円レートには、円安圧力がかかりやすい。
[米ドル建て債券価格動向]
- 米国債はほとんど動かず。わずかに買われた背景;(i) 5月コアCPIが市場予想を下回り、インフレ圧力の一服期待により長期金利が低下、(ii) 中東の緊張激化に伴い、投資家がリスクオフへ移行。長期国債が「安全資産」として買われた。- 投資適格(AA〜BBB格)及び上位投機級(BB格) 債のスプレッドは、ほぼ動かず。
- BBB格の投資適格債が相対的に割安な状況は変わらず。
- 米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは管理医療セクターのユナイテッドヘルス・グループ。ユナイテッド・ヘルスは、2025年6月17日付で4シリーズ、合計30億ドルの米ドル建てシニア無担保債券を発行しており、新発の2030年債・2035年債と、既発の2031年債との入れ替え目的での取引が増加、2031年債の単価が上昇した。
- 時価が下落したのは、米国籍事業法人の投資適格債で、最も下落したのはソフトウエア&サービスセクターのオラクル。オラクルは、6/11に公表のQ4決算が好調だったため、株価・社債価格ともに急騰していたが、市場が十分に織り込んだことを受け、若干の反転下落。オーバーパーの社債がより強い売り圧力に。
[米ドル建て債券起債動向]
- 前週に優先債で起債額の特に大きかった案件は、6月20日に発行した金融セクターの「ロケット・カンパニーズ」の40億ドルの起債。Mr.?Cooper Groupの買収にあたり同社の既発債の早期償還による債務整理が目的。- 劣後債で一番起債額の大きかった案件は、6月18日に発行した銀行セクターの「オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ) 」の12.5億ドル(6.068%クーポンで法定年限は11年)。オーストラリアの金融規制変更に対応し、AT1債の償還時に今後はTier2債+CET1資本(普通株式や利益剰余金など)で借り換えることに。
[米ドル建て債券取引動向]
- 最も債券の取引額が多かった金融機関は「バンク・オブ・アメリカ」で、「JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー」がそれに続く形。- 事業会社のうち、投資適格債券では「ユナイテッドヘルス・グループ」が最も多く、「オラクル」、「AT&T」がそれに続く形。
公開日:
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