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【発行体概要】ボーイングのクレジット投資評価のアップデート(2024年12月11日)

動画の説明(再生時間:16:52)

ボーイングは世界有数の巨大な規模を有するアメリカの航空機製造メーカー。

[事業の概要]

ボーイングは、以下の3つの事業を営んでいる。
(i)民間航空機 (BCA)
- 737MAXの事故からの生産再開後、2024/1に起きたインシデントの影響で製造が再度遅延、生産体制の見直しに。
- さらに司法省との司法取引を地方裁判所が却下したため、今後、企業自体の有罪を問う裁判が長期化。生産再開への障害に。
- 2024/9-11に行われたストライキの影響で資金流出がさらに悪化。今後のコスト増にも。
- FY2024Q3で大幅な赤字拡大。 長期にわたる赤字継続。
(ii)防衛、宇宙、セキュリティ (BDS)
- 既に受注している空中給油機、訓練機で重大な問題が発生、生産も遅れ開発コストも上積み。
- 2年以上に渡り赤字化。
(iii)グローバル サービス (BGS)
- 販売後の航空機に対する整備や部品供給を行う事業。
- 20年以上の長期に渡り、安定した売上高・利益と取引関係を維持。

[足元で生じた主なイベント]

- 主要3社(S&P,Fitch,Moody’s)がBBB-格から、さらに信用格付にネガティブウォッチを付与。(2024年4月~10月)
- 2018、2019年に起きた墜落事故を巡り、地方裁判所が司法所とボーイングの司法取引を拒否。(2024年12月)
- 空中給油機KC-46aとT-7Aの初期運用能力(IOC)獲得がさらに延期。(2024年〜)
- 民間空港の主要生産拠点でストライキが発生。ボーイング737, 747,767,777の製造が停止。(2024年9月〜11月)

[信用評価上の課題]
- 737 MAX航空機に影響を与える品質問題に関連して、生産の不確実性が高まっている。
- ボーイングは部品メーカーのスピリット・エアロシステムズ社の買収交渉中。買収が完了すれば、同社の債務水準は増加(悪化)することになる。
- 従業員のストライキにより、コスト増、収益減が発生。
-すでに数年間の業績不振が続く中、CEO、取締役会会長、および民間航空機部門の責任者が交代。将来に向けたリーダーシップが不透明な状況。

[クレジット投資評価のポイント]

(i)民間航空機事業;
製造遅延や事故にもかかわらず、コロナ後の航空機需要の増加を背景に、ほとんどの受注はキャンセルされていない
 →製造が再開すれば黒字化可能
(ii)防衛、宇宙、セキュリティ関連事業
空中給油機等の特定分野にプレゼンスを確立。
 →納入遅延はあっても、発注元からの受注キャンセルをされる可能性は極めて低い。
(iii) 航空サービス事業
航空機のメンテナンス需要は常に存在。
(iv) 潜在的な支援可能性
航空機製造は、長期間(20年以上)にわたり定期的な部品交換などのメインテナンスが継続して発生する事業。さらに同業他社のインシデントに備える意味でも複数の取引先を確保する市場ニーズあり。 → 経営悪化時には、納入先(政府、民間)から金融面でのサポートを受けやすい。
(v) 長期債投資の視点
20年債など超長期債への投資を検討する場合でも、将来のビジネスモデル維持を読みやすい。
公開日:
#米国#クレジット投資評価#投資適格債#個別発行体#事業会社#債券投資
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USD
ボーイング
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