【マーケット動向】週次:米国債券市場動向(2025/3 第3週)(2025年3月18日)
動画の説明(再生時間:10:45)
[米ドル建て債券相場動向]
- 直近(3月17日)の10年国債利回りは4.30%と前週比で+0.09%の上昇。4週前比では-0.18%の下落と高止まりのままボラティリティは低下。- 全債券で見て最大の利回りが出る年限は24.4年(2049年8月満期)、利回りは4.73% (気配、中値) 。
- 米ドル建て社債を年限別に見ると、相対的にスプレッド(超過利回り)が広めに動いたのは、投資適格債では5年債、投機級債では2年債。
[相場の見方]
- 3月19日に終了するFOMC待ちの相場。- アメリカの物価に与える関税の影響は、いまだ不透明。FOMCでインフレ・デフレ共に判断できるだけの根拠がない。景気への影響も同様。
- 下落する株価に示される将来の景気への不安感に、トランプ大統領がどう反応するのかにより、経済想定が大きく変わる。
- 短期的(1〜2か月間)は、債券の投資機会が維持されやすい。その後は、経済政策の方向性次第。
- インフレに危機感を覚えないトランプ政権と、物価と雇用の安定化を目標にに経済悪化への懸念を抑えたいFRBでは、そもそも経済政策に対するコンセンサスがなく、逆を向きやすい。
[新発社債の状況]
- 優先債で起債額の特に大きかった案件は、3月12日に発行した生活必需品セクターの「マース」の260億ドルの起債。債券の本数は8本、年限は2〜40年。マース(Mars)はスナック菓子メーカーのケラノバを買収する目的で、総額260億ドルの投資適格債を発行、同債券は2026年8月までに買収が完了しない場合、額面の101%で償還する条項を含む。本起債案件は、過去10年間の投資適格債市場においてもトップ10に入る規模。- 2番目は、3月14日に発行した原材料セクターの「リオ・ティント・ファイナンスUSA」の90億ドルの起債。債券の本数は8本、年限は2〜40年。
[米ドル建て社債取引動向]
- 金融機関債のうち最も債券の取引額が多かった金融機関債は「JPモルガンチェース」で、「バンクオブアメリカ」がそれに続く形。- 事業会社のうち、投資適格債券では投資適格債券では「マース」が最も取引額が多く、「オラクル」、「エジソンインターナショナル」がそれに続く形。
- 投機級債券では「ベンチャー・グローバルLNG」の取引額が多かった。
- 事業会社の投資適格で、値上がりが大きかったのは「インテル」社債。今月就任の新CEOが、抜本的な事業構造改革に加え正式指名後30日以内に2,500万ドル相当の自社株を購入する計画を示したことから株式相場が大きく反応、社債価格も連動した。
- 事業会社の投資適格で、値下がりが大きかったのは「フォード・モーター・クレジット」。メキシコ・カナダに対するトランプ大統領の課税発言に起因した、サプライチェーンの混乱や、自動車販売単価の上昇懸念が、社債価格の下落として反応。
- 外国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは、石油:総合セクターのエクイノール。原油価格の上昇、天然ガス市場の回復、政策期待、企業の好調な業績など、複数の要因が重なった結果、複数のエネルギー企業の社債価格がベンチマーク対比で上昇。
- 外国籍事業法人の投資適格債で最も下落したのは、石油:総合セクターのメキシコ石油公社(ペメックス)。減収減益の決算、生産量の低下に加え、米国とメキシコの関税問題などによるメキシコ経済への悪化影響が嫌気された形。
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