【マーケット動向】週次:米国債券市場動向(2025/3 第3週)(2025年3月24日)
動画の説明(再生時間:12:09)
[米ドル建て債券相場動向]
- 直近(3月21日)の10年国債利回りは4.246%と前週比で-0.066%の下落。4週前(2月21日)比では-0.185%の下落。- 全債券で見て最大の利回りが出る年限は24.4年(2049年8月満期)、利回りは4.728% (気配、中値)。
- 米ドル建て社債を年限別に見ると、相対的にスプレッド(超過利回り)が広めに動いたのは、投資適格債では2年債、投機級債では5年債。
[相場の見方]
- FOMCは事前想定通りに現状維持。- トランプ政権の関税政策は、インフレと景気減速を生じさせやすい。
- FRBがみている「米国経済のあるべき姿」や必要な政策対応は、トランプ政権との間でずれが生じている。
- インフレが加速する懸念がある中での利下げは実施しにくい。FRBの認識は通常の金融環境下での景気悪化よりも、インフレ下での景気悪化の方が、コントロール不能との認識。
- よって、他国との相互制裁を含む経済への影響を見極めるには、4月のFOMCではタイミング的に不十分。7月頃までかかる可能性。その間は、株価・市場金利ともに変動性が増しやすいが、一方的な相場トレンドは形成しにくい。
[新発社債の状況]
- 優先債で起債額の特に大きかった案件は、3月17日に発行したテクノロジーセクターの「シノプシス」の100億ドルの起債。米国の自動半導体設計(EDA)大手のシノプシスは、2024年1月に同業の米Ansysを約350億米ドルで買収。同案件はAnsysの株主に対し1株あたり197ドルの現金とシノプシスの普通株式0.3450株を渡す内容となっており、約350億ドルの買収価値のうち、現金部分は190億米ドルを占める。この現金部分は主に銀行のタームローンで一時的に借りていたが、今回の100億ドルの起債により長期社債で借り換えることで同買収案件は完了へ。- 2番目は、3月20日に発行した政府セクターの「国際復興開発銀行」の60億ドルの起債。債券の本数は1本、年限は5年。
[米ドル建て社債取引動向]
- 金融機関債のうち最も債券の取引額が多かった金融機関債は「シティグループ」で、「バンクオブアメリカ」がそれに続く形。- 事業会社のうち、投資適格債券では投資適格債券では「マース」が最も取引額が多く、「フォードモーター」、「メキシコ石油公社(ぺメックス)」がそれに続く形。
- 投機級債券では「ボシュ・ヘルス」の取引額が多かった。
- 事業会社の投資適格で、値上がりが大きかったのは「センティーン」社債。メディケイド支出の大幅削減に対する上下院の対立により予算が成立していない状況を受け、債券価格が反転した形。
- 事業会社の投資適格で、値下がりが大きかったのは「フォード・モーター・クレジット」。メキシコ・カナダに対するトランプ大統領の課税発言に起因した、サプライチェーンの混乱や、自動車販売単価の上昇懸念が、社債価格の下落として反応。
- 外国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは、石油:総合のメキシコ石油公社(ペメックス)。トランプ関税の中でも重要な影響が生じうる4月2日の品目別課税が、同日には正式発表されず相互関税の公表のみにとどめるとの報道を受け、メキシコ国債及びぺメックス債が反騰。
- 外国籍事業法人の投資適格債で最も下落したのは、石油:総合のイタリア炭化水素公社。
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